◇選手寿命、飛躍的な延び
新元号の「令和」が発表された4月1日。52歳で現役を続けるサッカー元日本代表の三浦知良は力強く言った。「昭和、平成と駆け抜けてきたので、令和も駆け抜けたい」
プロ野球では2015年10月に中日の左腕、山本昌が球界で初めて50代での登板を実現。8月に50歳となり、9月に引退を表明した後、現役生活最後のマウンドに立った。
平成では、40代にしてトップレベルで活躍する選手が珍しくなくなった。スキー・ジャンプの葛西紀明は46歳でワールドカップ(W杯)を転戦。米大リーグで数々の金字塔を打ち立てたイチローは「まだできる」の声がある中、45歳でバットを置いたが、元大リーガーの福留孝介は40歳を過ぎても阪神で主軸を打つ。
スポーツ医学やトレーニング方法の進歩が、選手寿命を飛躍的に延ばした。日本臨床スポーツ医学会の川原貴理事長は「日々の体のケアが常識となり、けがをしにくくなった。仮にけがをしても、適切な治療法が確立し、リハビリの効果も高くなっている」と説明する。
トップ選手が若手の追随を許さず、長く世界の頂点にいるケースも。競泳平泳ぎの北島康介は五輪2大会連続で二つの金メダルを獲得。レスリング女子の伊調馨は五輪4連覇、吉田沙保里は3連覇を成し遂げた。メディアが連勝や連覇の記録を高く評価し、ベテラン選手を応援する傾向が強いこともモチベーションの維持に寄与している。
プレー環境が拡大し、年長選手を受け入れる余地は格段に増えた。プロ野球では球団に解雇されても、独立リーグでプレーを続ける選択肢もある。サッカーのJリーグは創設から四半世紀以上を経て、クラブ数が5倍を超えた。高校で燃え尽きる選手もいた昭和の時代とは大きく変わっている。(2019年4月20日配信)
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