◇卓球やフィギュア、功も罪も
平成の時代は、10代半ばの少年少女が世界でトップを争う傾向が強くなってきた。それが顕著な競技は、福原愛が14歳で世界選手権ベスト8入りした卓球や、浅田真央が15歳でグランプリ・ファイナルを制したフィギュアスケート。背景には共通する点がある。
2.7グラムのボールを打ち合う卓球は球の回転やスピード、戦術が重要。フィギュアで難度の高いジャンプを跳ぶには、マッチ棒のように細い体形が理想とされる。パワーより技術での勝負が求められるため、中高生が頭角を現すことができた。
日本卓球協会は2001年から小学生のナショナルチームを作り、将来的に世界で勝てる選手の育成にかじを切った。有望なジュニア選手を一貫指導するエリートアカデミー事業も08年から他に先駆けてスタート。日本スケート連盟は1992年から小学生の全国有望新人発掘合宿を開始した。卓球の伊藤美誠や平野美宇、張本智和、フィギュアの浅田真央、羽生結弦らはここを通った。
地域にクラブやリンクがあり、親の関与が大きい一面もある。卓球は親が元選手だったり、フィギュアではリンクまで送り迎えをする親が指導したりすることもある。エリート選手になるには「10年、1万時間」の鍛錬が必要とする学説もあり、幼少期からの積み重ねは有利に働く。福原、浅田らを見た子供やその親が影響を受けたことも大きい。
卓球は中学までにナショナルチーム入りに3度挑めるシステムがあるが、ピラミッドを上り詰めるのは一握り。フィギュアでは摂食障害や体形変化などで不振に陥るケースがある。若くして挫折する多くの「敗者」へのケアも求められる。(2019年4月19日配信)
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