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平成スポーツ回顧 新しい波、変革の30年

メダルラッシュの五輪

◇環境整備で競技力向上

 近年の五輪で日本は目を見張る好成績を残せるようになった。最近の夏季大会では10個前後の金メダルを獲得。メダル総数は2016年リオデジャネイロ大会で史上最多の41個となり、冬季も18年平昌大会でこれも最多の13個。平成最初の夏季五輪、バルセロナ大会は金3個で期待できる競技も限られていたが、そこから大きな飛躍を遂げた。

 01年にスポーツ医療や研究の拠点として国立スポーツ科学センターが稼働。故障予防や科学的トレーニングなどの面で充実が図られ、まだ精神論が幅を利かせていたスポーツ界の変革につながった。04年アテネ五輪では2冠に輝いた競泳男子の北島康介、3連覇した柔道男子の野村忠宏らの活躍で、金メダルが1964年東京五輪に並ぶ史上最多の16個。日本選手団総監督を務めた福田富昭氏(日本レスリング協会会長)は「(競技団体との)連絡を密にし、精神的なつながりを感じ取れた。そういうものが成果に結び付いていった」と「チームジャパン」の一体感もポイントに挙げる。

 福田氏は五輪後、メダリストとともに小泉純一郎首相(当時)を訪問。「総理、一つお願いがあります」と切り出し、スポーツ関係者の悲願だったナショナルトレーニングセンター(NTC)の整備を直談判した。返ってきた答えは「いいよ、つくってやる」。アテネの好成績を追い風にNTCは08年に本格始動。トップ選手を集中強化し、ジュニアや指導者の育成にも力を注ぐようになると、競技力向上の勢いはさらに加速した。

 夏季五輪では柔道、体操、競泳、レスリングの「御四家」で金メダルを稼いできた日本だが、環境整備に伴い、バドミントンや卓球など他競技でもメダルを狙える実力をつけた。日本オリンピック委員会(JOC)は来年の東京五輪で金メダル30個を目指す。高い目標に届くためには、得意競技以外の一層の底上げが期待される。(2019年4月17日配信)

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