「おはよう。素晴らしい1日を!」―。よほどうれしかったのだろう。トランプ氏は3月24日午前5時1分、こんな一言でいつものツイートを始めた。ロシア疑惑を捜査してきたモラー特別検察官はこれに先立つ22日、約400ページに及ぶ捜査報告書をバー司法長官に提出していた。
バー長官は24日、捜査報告書の結論を議会に報告。トランプ氏はこれを受けて「(ロシア疑惑で)共謀と司法妨害は全くなく、完全な潔白だ。米国を引き続き偉大に!」とツイートした。
時系列を見ると、トランプ氏はさらにその2日前の20日、珍しく記者団に「報告書を見てみたい。多くの人も見たいだろう」と全面公開を容認する発言をしていた。トランプ氏の弁護団と特別検察官は水面下でやりとりしているため、捜査報告書が不発に終わったことをあらかじめ知らされていた可能性がある。
トランプ氏にとって、ロシア疑惑の追及は最大の懸案だった。特別検察官の捜査では、当時のトランプ陣営幹部を含む34人が起訴されている。トランプ氏の元個人弁護士は議会で、陣営関係者が内部告発サイト「ウィキリークス」創始者のアサンジ容疑者と直接連絡を取っていたと証言。ウィキリークスがロシアから入手したとされるクリントン陣営のメールを公表することをトランプ氏が事前に知っていたことも暴露した。
しかしモラー氏は、ロシアによるクリントン陣営へのハッキングなどに関し、トランプ陣営とロシアの「直接の共謀」の証拠を見いだすことはできなかった。司法妨害の疑惑については、バー長官が「報告書に記された証拠は大統領による司法妨害の立証に十分ではない」との結論を下し、早々と幕引きを図った。
特別検察官のチームは2800件以上の召喚状を交付、500件近い令状に基づく捜査を実行し、外国政府に13件の協力要請を行い、約500人の関係者を事情聴取した。この事実は、民主党が今後、トランプ氏のビジネスとロシアとの不透明な関係や不倫問題などさまざまな疑惑を追及したとしても、大統領を弾劾訴追に持ち込める決定打を得るのは限りなく困難なことを意味する。
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