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「日の出から世界へ」合言葉に 「亜細亜大国際オープンテニス」の奮闘

「登竜門」も大会少なく

 テニスの国内プロ大会を大学生主導で開催し続けている事例がある。ツアー下部大会の「亜細亜大国際オープン」だ。四大大会をはじめ世界の大舞台で活躍する錦織圭と大坂なおみ(ともに日清食品)が脚光を浴びているが、ツアーを転戦しているトッププロたちは日本勢に限らず、かつて下部大会で腕を磨き、ステップアップしてきた。ただ、日本国内では欧米に比べて大会数が限られ、世界を目指す若い選手にとって間口が狭いのが現状。亜細亜大学のテニス部員たちは「日本で選手が育つ環境をつくらないといけない」と強い使命感を抱き、草の根レベルでプロテニスプレーヤーを育成しようと奮闘している。(時事通信運動部 木瀬大路)

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 今年の大会は3月に亜大の日の出キャンパス(東京都西多摩郡日の出町)で開催された。男子が13度目、女子は8度目。都心から電車で約1時間の自然豊かな地で行われた。国際テニス連盟(ITF)公認のプロトーナメントで最もグレードが低い賞金総額1万5000ドル(約166万円)だが、このクラスの位置付けは、ジュニアで育った選手たちがプロの世界に飛び込む登竜門とも言える。今年1月の全豪オープンなど四大大会すべてに出場した伊藤竜馬(北日本物産)、男子ダブルスで昨年のウィンブルドン選手権出場などの実績を持つ内山靖崇(同)も「亜細亜大国際オープン」の優勝経験者だ。

 だが世界規模で見れば、大会の数で地域格差があるのが実情。男子の場合、賞金総額1万5000ドルと2万5000ドル(約277万円)を合わせた「フューチャーズ」と呼ばれるカテゴリーに分類されている下部大会は、米国やスペインなどで年間30大会以上あるのに対し、日本国内では8大会にとどまっている。日本選手は国内で獲得できるポイント総数が少ないため、海外遠征を余儀なくされる。賞金額は決して多くはなく、実績もスポンサーのサポートもない選手が世界を回るのは簡単ではない。

 しかも今年から1万5000ドルの大会は、ITFが新設する「トランジションツアー」にフューチャーズから分離され、世界ランキングの基となるATP(プロ選手協会)ポイントが付与されない。トランジションツアーのポイントを重ねてから一つ上の2万5000ドルの大会に出場するのが新たなステップ。ただし、この2万5000ドル大会もATPポイントの獲得は4強以上などに制限される仕組みになった。

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