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【怒れるガバナンス】みんなで走ればうつも飛んで行くんやで

作家・江上 剛

 現在、うつ病で悩んでいる人が112万人(厚生労働省2015年調査)、引きこもり(15歳から39歳)が54万人(内閣府15年調査)もいる。その他にも、統合失調症などの精神障害で苦しんでいる人は多い。

 精神障害は、けがや視覚障害などと違って心の病で、外からは見えにくい。そのため、例えばうつ病などに罹患(りかん)していながら、単なる怠け者のように扱われ、職場で冷遇され、それが引きこもりになるという負の連鎖にもつながっていく。

 引きこもりになると、家族も大変だ。特に、引きこもり患者の高齢化が進み、それをケアする家族の高齢化と相まって、さらに深刻度を増している。

 ジョギングの効用

 私は、記録はたいしたことはないが、56歳の時からジョギング、そしてレースに出るマラソンに親しんでいる。

 走るきっかけは、以前、日本初のペイオフ(預金の払戻保証額を元本1000万円とその利子に限る措置)となった日本振興銀行事件という大きな問題の渦中の人となり、非常にストレスを感じていたからだ。

 その時、仲間から走ることを勧められ、一緒に走り始めた。主婦、サラリーマンらいろいろな人とおしゃべりをしながら走ると、私の心に不思議な現象が起きた。

 悩みやストレスが解消されていくのだ。悩みは自分だけではない。みんなそれぞれ悩みを抱えている。家族の悩み、仕事の悩み、人間関係の悩み…。

 悩みとは相対化できるんだ。世界で一番、自分が不幸だと思って、いっそ死ねば楽になれるとまで思い詰めていた悩みが相対化されることで、ものすごく楽になったのだ。

 それ以来、私はマラソンに魅了され、今日も走っている。原稿執筆に詰まったとき、ちょっと走るとすっきりする。

 風を感じ、季節を感じることで、ごじゃごじゃになった頭の中が整理されていく。

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