2024年パリ五輪の追加競技候補にブレイクダンスが入った。米ニューヨークの貧困地区サウスブロンクスが発祥とされるストリートダンスバトル。BBOY、BGIRLと呼ばれるダンサーが、DJの流す音楽に合わせて交互に踊って対戦し、ジャッジが勝敗を判定する。18年には原則15~18歳の若いアスリートが参加するユース五輪で初めて実施され、大いに盛り上がった。
スポーツというより、ヒップホップに根ざしたカルチャーの色彩が濃い。開催経費の高騰などで五輪の招致熱が冷え込み不人気にあえぐ昨今、国際オリンピック委員会(IOC)が取り込もうとしている「アーバン(都会)のユース(若者)」を引き付けられる要素はそろっている。若者がストリートで長年かけて築き上げてきた独特の文化は、五輪というスポーツの祭典と相いれるのか。
国内外の数々の大会で優勝し、権威ある「Red Bull BC One World Final」で審判員を務めた実績もある石川勝之さん(37歳、BBOYネーム=KATSU1)は「カルチャーであってスポーツだとは思っていないが、五輪入りに関して僕は否定派じゃない。むしろ盛り上がるし、利用すればいい」と語った。国内を統括する日本ダンススポーツ連盟のブレイクダンス部長として日本代表の強化も担う石川さんにインタビューで思いや展望などを聞いた。(時事通信運動部・和田隆文)
夢を持たせられる場所に
―ルールの下で採点して勝敗が決まるスポーツになった。
「スケートボードやスノーボードと一緒で、賛否両論がある。ルールに基づいてやることに対して、踊っている人の99.9%は『ふざけるなよ』という思いを持っている。俺たちの文化をぶっ壊すつもりかという意見もあれば、新しいものに挑戦するのもありだろうという声もある。米国で始めてきた世代の人など今でもアウトローな人はいるが、半分くらいは頑張れと言ってくれる」
―ブレイクダンスにも権威のある大会がある。五輪競技になる意義は。
「五輪があってもなくてもブレイクダンスをやる人は増え続けているが、五輪は子供や親に夢を持たせられる場所の一つになる。チャンスがあるなら生かしてプラスにとらえればいい。バスケットボールを参考にしたらいい。ストリートでやっている格好良さを残しながら、その一方でNBA(米プロバスケットボール協会)がある。コラボしたりもする。そこに五輪もあるという感じ」
◆ブレイクダンスの要素◆ トップロック(立った状態での踊り)、フットワーク(かがんで地面に手を付いた状態で素早く動く足さばきやステップなど)、パワームーブ(背中や肩、頭など体のさまざまな部分で回転する動き)、フリーズ(一連の流れから音に合わせて体と動きを静止)。この四つの構成の中にも動きの種類がたくさんあり、それに加えて、それぞれ独自の動きも取り入れていく。
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