2018年12月25日18時00分
こうした譲渡事例の発表は「酪農学園大が初めてでは」と大杉教授。環境省の実験動物の飼養保管と苦痛軽減の基準に安楽死の定めはあるが、譲渡についてはない。実験動物の里親探しを積極的にやっている施設は非常に少ないとみられる。
一方、欧米では製薬企業などが行っており、珍しいことではない。実験に使われた犬、猫、ウサギ、ブタなどを救い、里親を探す市民活動もある。
実験動物の輸入販売会社「マーシャル・バイオリソーシス・ジャパン」(茨城県つくば市)の安倍宏明副社長は欧米の取り組みを知り、2016年から元実験犬の里親探しを始めた。安倍さんが顧客の製薬企業から犬を預かり、引受先を募っている。「体への負担が重い実験、解剖が必須となっている実験などは安楽死させる必要がありますが、必ずしも処分する必要のない実験もあります。健康面などで問題がなければ、家庭犬として幸せに暮らせます」
長年人間に尽くした犬に第二の「犬生」を用意する意義は大きい。「譲渡できれば安楽死に関わる研究者、動物実験技術者らのストレスを減らすことにもなる。まだ実現できたのは10匹程度ですが、今後取り組む会社が増えていくことを願っています」と安倍さんは話している。
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