損保ジャパン日本興亜が17年2月に行ったネットアンケート調査は興味深い。自動運転に期待することを複数回答で尋ねたところ、1位は「交通事故の減少」(78.5%)、2位は「高齢者の移動支援・行動範囲の拡大」(43.8%)だった。
一方、自動運転への不安では「運転支援・自動走行機能の誤作動」(47.3%)が、「ドライバーの運転技量の低下」(50.0%)に次いで多い。自動運転システムへの不安がなお強いことが分かった。さらに、不安として「車を運転する楽しさ・喜びの減少」を挙げた50代以下は25%を超え、60~70代の17.3%を上回っていた。
調査結果を受け、同社は「自動走行が社会に浸透するためには、自動運転技術の開発だけでなく、消費者の受容性の高まりが重要だ」と分析した。
自動運転の普及には、技術や法整備など、さまざまな課題がある。仮に、安全性が十分に担保され、制度面が間に合ったとしても、果たしてあと1年余りで本当に実用化され、世の中に浸透していくのかどうか、疑問も残る。
ただ次世代の運転技術も、いずれ「気付けば身近にあった」ということになるかもしれない。思い起こせば筆者は、ポケベルから携帯電話、スマートフォンへとつながる通信機器の流行にことごとく乗り遅れてきた。特に携帯が出始めたころは、なぜ外で歩きながら電話をしなければいけないのか、嫌悪感すら覚えていたものだが、いつしか、それが当たり前の社会となっていた。自動運転もそんな風になるかもしれない。
いずれにしても、自動運転がもたらす「新しい社会」に対し、どれだけの人が意義を見いだし、「いいね」の共感が広まっていくか。それが、普及に向けた今後の大きなカギの一つになるのではないかと思う。
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