自動運転は、自動化技術の段階によってレベル付けされている。政府は2017年、この自動運転レベルを米国の基準に合わせ、従来の4段階から5段階とした。この5段階の中で「レベル1」「レベル2」はドライバーの運転を支援する位置付けで、いわゆる自動運転は「レベル3」から「レベル5」までとなる。
レベル3は「条件付き自動運転」。自動運転で走行するが、雨や雪などの気象の変化などでシステムが作動困難な場合はドライバーが交代しなければならない。レベル4は地域や気象などの条件を限定した「完全自動運転」。最も高いレベル5は条件なしの「完全自動運転」。同局担当者によると「レベル3以上を実用化した車は世界にまだゼロ。レベル5は技術的に相当難しい」。日本が当面目指すのは「レベル3と4」だそうだ。
自動運転が実用化すれば、さまざまな効果が期待できる。まずは「交通事故の削減」だ。
2018年の交通安全白書によると、交通死亡事故に占める高齢者の割合は高く、75歳以上のドライバーによる死亡事故で最も多いのは、ハンドルやブレーキ、アクセルなど運転操作の誤りで31%だった。白書は「交通事故の多くが運転者の不注意に起因していることを踏まえれば、自動運転技術などの発展は、事故の減少に大きく貢献する可能性がある」と指摘する。
事故削減と並び、大きな効果が見込まれるのが少子高齢化や人口減少への対応だ。トラックやバス、タクシーなどのドライバー不足が深刻になる中、自動運転による無人化が実現すれば、高齢者の移動支援に活用したり、物流を大幅に効率化させたりすることが可能になる。また、自動運転により、最適な車線選びや車間距離を守った走行が徹底されれば、渋滞の緩和も見込まれる。
さらに、産業競争力強化の面でも期待が高まる。政府が6月に閣議決定した「未来投資戦略」では「世界に先駆け、自動運転および公共交通全体のスマート化を含む『次世代モビリティ・システム』を実現する」と明記。自動運転を第4次産業革命に向けた重点分野の一つに位置付けた。
自動車メーカーやIT産業などから参入企業が相次ぎ、世界レベルでの開発競争が激化する中、政府は自動運転を自動車に次ぐ日本の主要産業となるよう支援する方針だ。
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