目指しているサッカーの真骨頂とも言える場面は9月29日の鳥栖戦で見られた。後半25分、左のCB、福森晃斗がサイドを攻め上がってクロスを上げると、同時に逆側から駆け上がってきた右のCB、進藤亮佑が頭で合わせた。このシュートは決まらなかったが、「左のストッパーのクロスに右のストッパーが合わすのはまれなシーン。われわれのやるのはそういうサッカー。見ることができてうれしい」と指揮官も絶賛した。試合も2-1で制して連敗を2で止めた。
今シーズンの総得点数は昨年の39点から48点に伸びた。攻撃重視では守備がおろそかになると思われがちだが、失点数が昨年の47点から1しか増えていないのも注目だ。
敵地で強豪の鹿島や浦和と無失点で引き分けるなど粘り強さも発揮。進藤は「守備は11人全員のコンセプト。大事なのは90分を通して隙を与えないこと」。守備を重視した昨年までのベースに今年、培った球際の強さと運動量が加わった。
ただ、経験がない上位での戦いの重圧も確実に選手たちにのしかかった。9月の北海道地震発生後初の試合となる15日の川崎戦では、中盤でパスを奪われて次々に失点し、0―7の大敗。続く鹿島戦でも0―2で敗れた。強豪相手の連敗に「雰囲気はよどんでいた」と都倉。
若手は自信を失いかけ、ペトロビッチ監督は「選手たちは分かっていても恐怖心が出る。鹿島戦ではボールを蹴ることを怖がっていた。ボールの受けるのを怖がったら、我々のサッカーにはならない」と危機感を感じていた。鳥栖戦で連敗を止め、地震後初勝利を挙げたことで札幌は息を吹き返し、最終戦までACL出場権争いに絡んだ。
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