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2018年、コンサドーレはなぜ躍進したのか

新監督を招く勇断とチームビジョン

 3万人を超える観衆が、北海道コンサドーレ札幌の歴史的な瞬間を見届けようと札幌ドームに押し寄せた。2018年12月1日のJ1最終節で2位の広島に勝てば、逆転で3位以内が決まり、初めてのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフの出場が決まる大一番。

 前半に2点をリードした札幌は後半に追い付かれて出場権を逃したが、選手たちに送られた拍手は温かかった。クラブ史上最高の4位。毎年、残留争いが精いっぱいだったチームを躍進させた立役者はミハイロ・ペトロビッチ監督(61)だった。

 ペトロビッチ監督の招聘(しょうへい)は驚きを持って迎えられた。四方田修平監督(45)の下、2016年にJ2を制して昇格した札幌は17年シーズンを11位で終えた。それまで1999年、03、09、13年と降格を繰り返してきたチームにとって、残留は大きな進歩。それでもクラブ首脳は監督交代を決断したのだ。

 「20数年、昇格できても定着できない。何かを変えないといけない。今までになかった哲学をチームに落とし込まないと変わらないと思った」と野々村芳和社長は語った。旧ユーゴスラビア出身のペトロビッチ監督は06年途中から広島、12年からは浦和を率いて低迷していたチームを建て直した実績を持ち、「広島、浦和が明らかに変わっていく姿を見た」とちゅうちょはしなかった。

 だが、驚きはそれだけではない。札幌は前監督の四方田氏にヘッドコーチとしてチームに残るよう求めたのだ。四方田氏は元日本代表監督の岡田武史氏の下、日本代表でスタッフ、札幌では指導者としての経験を積み、下部組織の監督を長く務めた。三上大勝ゼネラルマネジャーはさらに長期的な視野でクラブの将来も見据えていた。「ミシャ(ペトロビッチ監督の愛称)がいなくなったとしても、野々村や私がいなくなっても、哲学が残っていればクラブはつながっていく。四方田さんはミシャの下で視野を広げて、また監督をやってほしい」。

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