表現の自由が重視される米国では、候補者や第三者による選挙活動の規制が日本よりも緩い。
民主党はカギとなるオレンジ郡の下院選に大量の資金を投入して、ルーダ氏を含めた候補者たちをサポートした。若者やエスニックマイノリティに人気の高いオバマ前大統領も応援に駆け付けた。
テレビやフェイスブック、ユーチューブなどには、共和党現職議員を批判する広告が飛び交い、郵便受けは民主党からのダイレクトメールでいっぱいになった。
選挙の数週間前には、元ニューヨーク市長で大富豪のマイケル・ブルームバーグ氏が430万ドル(約4億9000万円)を投入してルーダ氏を支援した。
「一年くらい前までは、オレンジ郡で民主党が勝つとは思っていませんでした」とムーディアン教授は言う。「でも、民主党候補たちが集めている政治献金の額を見て、もしかしたらチャンスがあるかもと感じ始めました。そんな状況は見たことがなかったからです。オレンジ郡でのトランプ支持率が35%であることを見て、ここにも(民主党の)『青い波』が来たと気づきました」
揺り戻しの気運によって、今回の中間選挙は近年にはない盛り上がりを見せた。50%と推測される投票率は2014年よりも13ポイントも高い。
選挙当日、筆者のフェイスブックのニュースフィードには、投票が済んだことを報告したり、投票に行こうと促したりする友人の投稿が相次いだ。仕事が終わってから駆け付けた住民が夜中近くまで長蛇の列をなすオレンジ郡の投票所もあった。
結果的には、下院では議席を40以上も伸ばした民主党の圧勝。
前出のウォルターズ議員は、カリフォルニア大学アーバイン校で教授を務めるケイティー・ポーター氏(44)に僅差で敗れた。3人の子供を育てるシングルマザーのポーター氏は、ルーダ氏に比べて進歩的すぎると心配されていたが、ウォルターズ議員がトランプ大統領の政策にほぼ同調していることを突き、見事「青い波」に乗った。
下院で民主党を引っ張るナンシー・ペロシ議員は、選挙の結果を「トランプ政権に対する憲法のチェック・アンド・バランス機能の復元」だと表現した。
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