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大谷翔平に1位票を投じた4つの理由 米大リーグ新人王選考委員体験記

「よりによって新人王か…」

 今季の米大リーグ取材はシーズンを通し、投打の二刀流でエンゼルス入りした大谷翔平選手の1年目を追った。全米野球記者協会(BBWAA)所属となったのは今年から。それでも、現地の記者を含め最も多くエンゼルスを取材したこともあり、記者投票で決まる賞の投票権を与えられた。

 BBWAAが選出する賞は最優秀選手(MVP)、サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)、最優秀新人(新人王)、最優秀監督の四つ。このうち、結果的に大谷選手が選ばれることになるア・リーグ新人王の有権者30人の1人を任された。他の大谷番日本人記者ではサイ・ヤング賞、最優秀監督賞の投票権をそれぞれ1人ずつが与えられていた。

 新人王の投票は全てのルーキーの中から、1位~3位を選抜する。私は1位に大谷選手、2位にミゲル・アンドゥーハル内野手(ヤンキース)、3位にはグレイバー・トーレス内野手(同)を選んだ。投票に至るまでのプロセスや、大谷選手に1位票を入れた理由、記者投票に参加した印象を振り返った。(時事通信ロサンゼルス特派員・安岡朋彦)

◇ ◇ ◇

 「ア・リーグ新人王の選考委員に任命しました」。8月22日、BBWAAからそんなメールが届いた。シーズンも残り1カ月余り。二刀流で話題を呼んだ大谷が新人王争いに加わるのは確実で、注目の投票になることは必至だ。大リーグの記者投票は結果が実名、社名とともに公開され、投票理由の説明まで求められることもある。選考委員に選ばれたのは大変な名誉。だが一瞬、その重責に「よりによって新人王か…」とたじろいでしまった。

 ただ、冷静に考えると、その時点の成績などを考慮すればアンドゥーハルの選出が妥当。「1位はアンドゥーハルで、大谷は2位か3位。そう難しい投票にはならないのではないか」。正直、少し高をくくっていた。

 その頃の大谷は、6月に判明した右肘靱帯(じんたい)損傷からの投手復帰に向け、打者での出場を続けながらリハビリに精を出していた。

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