会員限定記事会員限定記事

【農林水産・最前線】日本航空が農業を始めた~地域貢献だけではないメリット~

体験農園やブランド野菜

 日本航空(JAL)が農業に参入した。子会社を通じ、成田空港の近郊で体験型の観光農園やレストランを運営し、栽培した農産品をJALブランドで販売する。

 2010年の経営破綻を経て生まれ変わった日航は新規事業を模索。かつては絶大な存在感を誇った成田空港周辺で、地域振興に貢献するとともに、存在感を回復する道を探る中、浮上したのが農業だった。

(成田支局長・鈴木隆義)

  ◇  ◇

 子会社は「JAL Agriport(アグリポート)」。農業関連事業を幅広く展開する「和郷」(本社・千葉県香取市、木内博一社長)と組んで18年春、設立した。社長の鎌形晶夫さん(58)と社員1人のベンチャー企業だ。

 鎌形さんは日航に入社後、国際線の機内で客室乗務員を束ねるチーフパーサーを担った。機内食やビデオ、アメニティーなど客室サービスの企画、就航都市の機内食会社とやりとりする機内食オペレーションなども担当。福岡、沖縄、青森と地方都市での勤務経験もある。現在も、青森空港所長を務めた経緯から「元気あおもり応援隊」のメンバーとして、リンゴの輸出をサポートしている。

 社長就任は「急に声が掛かった」というが、高校時代まで和郷の本社がある香取市で育ったことに加え、「食に関わる仕事をしてきたことが長かったからではないか」と振り返る。

 カギは農地確保

 新会社の事業の柱は、①イチゴやサツマイモなどの収穫体験や食事を楽しめる「体験型農園施設」②自社や千葉県各地で栽培した農産品を使ったプライベートブランド商品の開発・販売③千葉県各地の農産品の販売。

 体験型農園施設は、空港のターミナルビルから数キロ、車で10分ほどの地点に当初2ヘクタール(1ヘクタールは100メートル四方の広さ)の農地を確保。全体で畑、ハウス、元ナシ農園からなる4.5ヘクタールまで拡大する計画だ。

 農業参入のカギとなったのは、まとまった用地の確保ができたことだった。20年の東京五輪・パラリンピックに向けて、訪日外国人観光客は増加の一途をたどる見通し。訪日客にリピーターが増える中、「モノ消費」から「コト消費」への流れが強まっており、成田空港近隣の体験型農園施設にも大きな集客効果が期待できそうだ。

★【農林水産・最前線】バックナンバーはこちら

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ