ヒトラーは第1次大戦後のドイツでベルサイユ体制の打破やユダヤ人排斥を掲げて独裁政権を樹立した。国際連盟を脱退し、「生存権」の拡張を理由に近隣への侵略を開始した。京都大学の佐藤卓己教授の『ファシスト的公共性』(岩波書店)によると、第2次大戦前のドイツ人は独裁政権下の息苦しさは感じず、「自由だと思っていた」という。そして「恐慌期の失業者を軽減させたヒトラーの経済的成功や、それに続いた外交的勝利」を正常な日常として受け止め、歓迎した。
トランプ氏もイスラム教徒や移民の排斥を主張し、「米国第一」を旗印に高関税や制裁を用いて同盟国を含む関係国を屈服させようとしている。全米の約40%の岩盤支持層がトランプ氏の仕事ぶりに満足している。ファシズムが一般市民の無自覚な同調の中で醸成されるとしたら、その「再来」は現実味を帯びているかもしれない。
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