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【地球コラム】トランプ時代「ファシズムの再来」
 ~2020年「再選」後も続く可能性~

アジアへも「保護主義」、同盟国に過大な圧力

 東アジアと欧州では様相が異なるものの、日本や中国などは高関税を振りかざすトランプ氏の「保護主義」への対応を迫られている。安倍政権は来年早々から、トランプ政権との物品貿易協定(TAG)交渉に直面することになる。

 貿易不均衡を是正するためのTAGは、9月の日米首脳会談で合意されたものだが、日本がこれまで拒否してきた自由貿易協定(FTA)交渉の色彩を帯びている。11月12日に来日して安倍晋三首相と会談したペンス副大統領は共同記者発表で、「(米国は対日貿易で)障壁に直面している」と不満を表明。「協定(TAG)は物品だけでなくサービスも含む重要分野の条件を整備する」と明言し、物品だけを交渉対象にするとしている日本との溝を浮き彫りにした。

 日本側交渉者の1人は「米側の狙いは農産品ではなく、自動車。何とか19年内に交渉のめどをつけたい」との考えを明かした。20年に入れば11月の大統領選を控えてトランプ氏の要求が高まり、双方が受け入れ可能な着地点を見いだすのは不可能とみるからだ。

 欧米各国は世界恐慌が起こった1929~30年、自国産業を守るため高関税などの保護主義政策を取り、国際協調体制を崩壊させていった。今年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、米中の貿易をめぐる対立で初めて首脳宣言を発表することができなかった。

トランプ氏は経済と安全保障を結び付けて相手側に圧力を掛けるのも辞さないため、一歩間違えれば日米同盟の土台が揺らぐ可能性もある。

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