「ルパンはあの赤いジャケットを着たら、るろうに剣心は赤い袴で赤い髪のかつらをかぶると、割と誰でもできる。衣装や髪型に助けてもらえるんですよ」と笑う早霧せいなさん=東京都中央区の新橋演舞場【時事通信社】
早霧さんは「るろうに剣心」のほかにも、「伯爵令嬢」「ルパン三世」など漫画が原作の作品を演じてきた。近年、漫画やアニメが原作の「2.5次元ミュージカル」が人気を集めているが、宝塚の代名詞とも言える「ベルサイユのばら」はその先駆け。トップ就任前には本公演と全国ツアーで男装の麗人、オスカル役を演じている。
漫画のキャラクターの再現ぶりには定評がある。「最初に原作に触れた時に素直に感じた作品へのインスピレーション、役のニュアンス、1人の読者として感じたことを大切にしていました。そこに、原作やキャラクターのどこが愛されているのか、自分なりに分析して、演じる時に注入していくんです」
ビジュアル面にもこだわる。「2次元で描かれたものを、360度、どの角度から見られてもいいようにキャラクターの要素が入ってないと、自分が一番違和感を感じるから」。ルパン三世も、細身の黒いパンツに真っ赤なジャケットがよく似合い、漫画から抜け出てきたようだった。
といって、似せるばかりではない。ルパンの髪型は漫画とは少し違うスタイリッシュな短髪にした。当初、アニメのルパンの髪型に合わせたかつらを使用するつもりだったが、「かぶったら、おかしくて、速攻でやめ」、地毛でスタイルを工夫した。「総合芸術でそのキャラクターに見えたらいいということを学びました」
漫画原作物はキャラクターのイメージに縛られる面がある一方で、オリジナル作品にはない面白さもあるという。「役柄に共感できないと思っていたのに、お客さまがすごく喜んで、びっくりしたことがある。オリジナル作品ばかりだと自分の想像の世界だけに行ってしまう。原作があると型に縛られそうだけど、逆に世界を広げてもらえる気がしますね」
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