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男役を超えて 早霧せいなさん「るろうに剣心」を語る

「るろうに剣心」再び

 「るろうに剣心」は、1994~99年に「週刊少年ジャンプ」に連載され、テレビアニメや、佐藤健(さとう・たける)さん主演の実写映画にもなった人気漫画が原作。宝塚のヒットメーカー、小池修一郎さんが脚本・演出を手掛け、2016年に宝塚大劇場と東京宝塚劇場で初演された。

 幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられた剣客・緋村剣心が、明治維新を境に「不殺(ころさず)の誓い」を立て、新たな生き方を模索する。剣心が出合う人々もまた、時代の変化に惑いながら成長していく。

 初演の際、早霧さんは原作漫画を読み、映画やアニメも研究。「映画からは剣心の孤独さや背負っている悲しみという、どちらかというと陰(いん)の部分と、立ち回りの動きの部分をもらった。アニメからはちゃめっ気が多い陽の部分を頂戴して、二つを融合させた」と明かす。

 ただ、初めは剣心が頬に十字傷を負った過去を回想する「不殺の誓い」などの「陰」の部分から、「陽」の部分へ気持ちをうまく切り替えられないと感じていたという。そんな時に大阪松竹座で市川猿之助主演のスーパー歌舞伎II「ワンピース」を観劇。観客の立場に立つと剣心に必要なことが見えてきた。

 「(原作の)漫画もアニメも知らない私が見ても面白くて、エンターテインメントとして成立しているなと思った。お客さんは素直だから、こちらが笑った瞬間、照明が変わった瞬間などに、お客さんの方が柔軟に変わる。剣心としても、自分としても、前に進まなきゃいけないと感じた。剣心は過去の傷や悲しさを持っているけど、それを人に見せない強さや優しさがある。その二面性を出すのが自分の仕事だと納得できたんです」

 今回、男性キャストに交じって男性役を演じる自分の役割について、「漫画とリアルを中和させる存在」と表現した。「血なまぐさい戦いの部分と、漫画のファンタジーの部分のバランスを取るために女性である早霧せいなが演じる剣心がいる。宝塚の時の剣心はひと色だったけど、今回はいろいろなアプローチの仕方で剣心を作っていけるんじゃないかと思っています」


 ◆浪漫活劇「るろうに剣心」 10月11日~11月7日に東京・新橋演舞場、11月15~24日に大阪・大阪松竹座で上演。問い合わせはチケットホン松竹 電話0570(000)489

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