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エースが振り返る夏の甲子園 100回目の全国高校野球

元駒大苫小牧・田中将大投手「後悔なく出し切った」

 第100回を迎える全国高校野球選手権大会。エースとして登板した夏の甲子園を「最高の場所」として記憶し、現在は米大リーグとプロ野球でそれぞれ活躍する現役投手2人が当時を振り返った。

 ◇ ◇ ◇

 2006年の第88回大会。73年ぶりの3連覇が懸かった駒大苫小牧(南北海道)のエース田中将大が、決勝再試合の末に敗れた。相手は斎藤佑樹(現日本ハム)の早稲田実(西東京)。「もちろん悔しかったけど、後悔はしていない。出し切ったという気持ちの方が大きかった」。現在、米大リーグの名門ヤンキースで先発の柱として活躍する田中が、甲子園を振り返った。

 駒大苫小牧は04年夏に北海道勢として悲願の全国制覇を遂げ、3年連続で夏の甲子園決勝に進んだ。「誰もが経験できることではない。周りのチームメート、指導者や全ての方々に感謝している」。最終学年の決勝は、高校野球史に残る試合となり、今でも思いは強く残っている。

 斎藤と投げ合った延長十五回で1-1と決着がつかず、翌日再試合。田中は1戦目で三回途中から十五回まで、2戦目は一回途中から八回まで投げたが、力及ばなかった。3-4と追い上げた九回、最後の打者として自ら三振に倒れて試合終了。ただ、できることをやり切った達成感はあった。「2年の時に胴上げ投手になって、3年で最後の打者になった。この二つを経験した人はなかなかいないと思うので、自慢できる」。今は穏やかに笑って言える。

 兵庫県出身。高校進学時に最優先したのは「自分が選手として上達していける環境に身を置くこと」。だから、甲子園に強いこだわりはなかった。自分が目立とうとして、北海道に渡ったわけでもない。冬場は雪で埋もれる苫小牧のグラウンド。「練習が相当ハードだった。雪をよけて、でこぼこのグラウンドでシートノックや打撃練習もした」。振り返りながら言う。「あの高校に行ってなければ甲子園に出ていなかったかもしれないし、ああいう(貴重な)経験もできない。プロ野球選手にもなっていなかったかもしれない」

 甲子園とはどんな所だったのか。「球児にとって最高の場所、球場。あんなに注目してもらってプレーできるのはいい経験になるし、うれしかった」。そして、聖地での時間は「本当に楽しかった」経験として脳裏に焼き付いている。

 10歳以上も年が離れた現在の高校球児に助言できることを聞いた。「その先のステージを見ている人も、そこが最後と思っている選手もいるだろう。とにかく後悔しない選択をしてほしい」

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