◇ ◇ ◇
2018年に入り、日本記録の更新は既に10回を超えた。競泳女子の池江璃花子(ルネサンス)は、涼しい顔で言う。「自分の目標は世界のトップと戦うこと。今の記録に満足せず、どんどんタイムを伸ばしたい」。国内では無敵の強さを誇る18歳は、視線を世界に向ける。
中学3年で初めて日本代表入りし、16年リオデジャネイロ五輪では100メートルバタフライで5位入賞と健闘。初の五輪でトップ選手との距離を思い知って以来、池江の意識は大きく変わった。今春まで指導した村上二美也コーチは「練習する姿勢が昔とは違う。自覚を持ってやることが成長につながっている」。五輪中間年の今年は、海外チームに入っての合宿や大会直前の高地トレーニングなど、2年後の五輪を見据えた新しい取り組みに積極的だ。
得意とする短距離種目には、海外勢にパワーのある大型選手がそろう。同い年で身長186センチのライバル、ペニー・オレクシアク(カナダ)や、世界記録を持つ182センチのサラ・シェーストレム(スウェーデン)らとの勝負を見据え、今季から師事する新コーチの下で苦手意識のあったキックを重点的に強化。減速につながる息継ぎを減らす泳ぎも試してきた。きつい練習を前向きにこなし、「中間年はいろんなことにチャレンジできる年。いい形で来年、再来年につなげたい」と話す。
生まれ育った東京で、20歳で迎える五輪には特別な思いがあると繰り返してきた。「東京では絶対にメダルを取るという気持ちでいる。どんどん自分を超えていきたい」。夏本番を迎え、進化は止まらない。(2018年7月21日配信)
新着
会員限定