一般住宅が宿泊料を取って旅行者らに部屋を貸し出す「民泊」を制度化した住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行された。新法施行で、一定条件を満たして都道府県に届け出を行った住宅が合法的な民泊として認められる一方、違法民泊については取り締まりが強化される。
法的枠組みがないまま既成事実が先行したため、近隣トラブルが発生するなどして一部で悪いイメージもあった民泊。しかし、過疎化に悩む地方にとっては、増加を続ける訪日外国人を取り込んで地域の活性化を図る手掛かりになると期待されている。
新法施行で「旅の形」や「地方の将来」は変わるのか。現場を担う地方の関係者や、「合法民泊しか扱わない」と明言する日本の予約サイト運営会社の取り組みを中心に、民泊の現状を紹介する。(編集局編集委員 石井靖子)
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仙台から約1時間。田園風景の中でバスを降りると、森林の中に広大な別荘地が広がっていた。昭和40(1965)年代に開発が始まった天然温泉付き別荘分譲地「蔵王山水苑」(宮城県蔵王町)。ゲートをくぐると、道路、橋などが整備された一つの「町」に約600棟の家屋が立ち並ぶ。
開発、分譲と管理を行っているのは、1969年創業のコンサルタント会社「Nコーポレーション」(東京都新宿区)。高度成長期に開発が始まった山水苑はその後の日本経済の変遷を経験してきた。バブル崩壊後は売却物件が増え、苦しい状況に置かれたが、さまざまな工夫で乗り切ってきた。仙台の通勤圏にあることなどから最近では定住者も多く、苑内には高齢者福祉施設や知的障害者向け教育施設なども立地している。
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