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素顔の北朝鮮 訪朝7回、写真家・初沢亜利さんに聞く

人々の表情、明るくなった

 2018年4月に11年ぶりに韓国と、6月には史上初めて米国と首脳会談に臨むなど、国際社会との関係改善にかじを切った北朝鮮。写真家の初沢亜利さんは、ベールに包まれた同国を2010年から7回にわたり訪れ、定点観測を続けてきた。

 第1弾として、10〜12年に首都・平壌や地方で暮らす人々の様子を収めた写真集「隣人。38度線の北」(徳間書店)を出版。18年5月には、第2弾となる「隣人、それから。38度線の北」(同)を刊行した。

 16〜18年に撮影された写真には、商品が並ぶスーパーで買い物をしたり、学生同士が手をつないで楽しそうに歩いたりと一見、私たちの日常とさほど変わらない姿が写し出されている。しかし、国民が互いに監視し合う「相互監視体制」の下にある北朝鮮での撮影は毎回、緊張感を伴ったという。

 刊行を記念し、東京・六本木で開催中の写真展(18年8月15日まで)では、未収録分も含めた約50点を展示している。その会場で、初沢さんが感じた「素顔」の北朝鮮について聞いた。
(時事ドットコム編集部・則直浩子)

  ◇    ◇    ◇

 ―前回(10〜12年)と今回(16〜18年)で、北朝鮮の国内に変化は感じたか。

 街全体の雰囲気、そして人々の表情が明るくなったという印象だ。平壌に限定した話だが、そこそこ裕福な人たちが増えてきている。格差が広がっているというより、上が一気に伸びたのではないか。どの国も首都から発展するのが普通で、首都をどう見るかというのが、その国のバロメーターになる。地方も状況は少しずつだが、安定してきている。

 ―初沢さんが見た「素顔」の北朝鮮は

 デパートには国産の洋服が増えてきた。特にストッキングは品質が良いと評判がいい。おしゃれをしても、にらまれなくなった。(男性と女性がレストランで食事している写真を示しながら)男性がピンクのシャツを着ているが、男性にもおしゃれが少しずつ浸透してきたように思う。

 スマートフォンを持っている人も多く、ゲームに興じる人もいる。スマホは地方の山奥でもつながる。アルコール類を提供するバーも増えてきた。屋台でかき氷を食べたり、レジャーを楽しむようになった印象だ。平壌の地下鉄には新型車両が登場し、ドアの上に設置されている画面には音楽の映像が流れている。

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