日本大によるアメリカンフットボールの悪質タックル問題は、当事者らへの厳しい処分だけでは拭えない深い闇を抱えている。体育会と呼ばれる日本の大学スポーツにおける行き過ぎた上意下達とパワハラ体質、大学とリーグの危機管理の欠如など複合的な問題が一気にあらわになった。
競技発祥の地、米国ではカレッジフットボールがプロに負けないくらい人気がある。全米大学体育協会(NCAA)1部のスタンフォード大でオフェンシブ・アシスタントを務める河田剛さんは「あんなプレーはどのレベルのフットボールでも見たことがないと同僚の皆が言う」と語った。
河田さんはかつて城西大でプレー。社会人のシーガルズでも選手、コーチの経験があり、2007年からはスタンフォード大で指導に当たっている。日本と米国の双方のアメフットを知る立場には今回の悪質タックル問題がどう映ったのか。話を聞いた。(時事通信運動部・和田隆文)
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ボールを投げ終えて無防備の状態だった関西学院大のQB(クオーターバック)を日大DL(ディフェンシブライン)の選手が背後からタックルし、腰や膝に全治3週間のけがを負わせた。コーチから「QBをつぶせ」との言葉があった。
「米国でも話題になった。あんなプレーはあり得ないと。ただ、米国でもあのような(QBをつぶせという)言葉は日常的にフィールドでは使う。もっとひどい言葉もある。ただ、プレーはルールの範囲内で行う。笛が鳴って2、3秒後に当たるなんて信じられない。皆が想像し得ないくらいのことをやるところまで彼が追い込まれてしまったということ。度を超えたパワハラだと思う」
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