「平成と私」インタビュー

元小学教諭エレン・カイザーさん

◇刺激与えた両陛下訪問

 天皇、皇后両陛下は1994年6月に米国を訪問し、バージニア州のグレート・フォールズ小学校を視察された。両陛下を出迎えた当時の教諭、エレン・カイザーさんに聞いた。

 ―両陛下が小学校を訪れると聞いた時は、どう思ったか。

 びっくりしたけど、とても刺激的だった。まず準備からで、何もかもきれいにしなくてはならない。私たちは旗を用意して、歌の練習もして、みんなよそ行きの服を着て出迎えた。

 ―なぜ視察先に選ばれたのか。

 私たちの学校に、日本語の集中教育課程があったからだと思う。当時はかなり新しい考え方で、一日の授業の一定部分を、全て日本語で教えていた。天皇陛下は、どんなふうにやっているのですかと聞いてきて、とても興味を持った様子だった。

 ―両陛下の様子を覚えているか。

 両陛下は到着すると、私が受け持っていた5~6歳児のところに最初に歩み寄ってきてくれた。みんなで一生懸命手を振って迎えた。私たちは「おはようございます」と言う練習をしていたのだけれど、陛下は「ハロー」と(英語で)話しかけてくれた。しきたりに反していたら申し訳ないけど、私は握手をしたと思う。お二人ともたくさんの笑顔を見せてくれ、文化や言葉の壁を越えて気持ちが伝わってきた。

 ―子供たちの反応は。

 とても強い印象を持ったようで、何週間もその話をしていたのを覚えている。とても多くの報道陣がいたから、子供たちも、これがすごいことだと分かったのだろう。

 ―皇后さまの様子はどうだったか。

 とても優雅で、光り輝いていた。笑顔だったけれども、それはつくった笑顔でなく、子供たちと触れ合うことで心の底から出てきた本物の笑顔だった。

 ―両陛下の訪問が学校に与えた影響は。

 私のクラスでは、学年が上がって多くの子供が日本語の集中教育課程へと進んだ。2、3人の子はその後日本へ行き、日本との懸け橋となる仕事を選んだ。今まで日本語を学ぶことについて特段考えたことのなかった子たちも、両陛下の訪問で何かひらめくものがあったのだと思う。

 ―陛下は2019年に退位する。

 私は、陛下が大きな視点で物事を考えていると思う。文化と伝統を守り、前に進んでいくためには、今が次の代に譲る時だとお考えになったのではないか。お疲れになったこともあるだろう。

 ―皇位継承とともに平成の時代が終わる。

 「君主」の交代とともに元号が変わる制度は、私の理解では、その「君主」を敬い、感謝を伝える一つの方法なのだと思う。天皇になるべくして生まれ、選択の自由もないまま天皇であり続け、なさってきたことに対する人々の感謝の形なのではないか。(2018年5月配信)

  ◇  ◇  ◇

 エレン・カイザーさん メリーランド大卒。ジョージ・メーソン大で修士号(教育学)。1991~94年バージニア州のグレート・フォールズ小学校の教諭。以後、現在まで同州のバズ・オルドリン小学校で教える。55年1月21日、首都ワシントン生まれ。

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