会長が「1年かけてつくり上げたい」と意欲を見せる取り組みが二つある。一つは技量などに応じて昇級や昇段をする検定制度の導入。五輪が目標でなくても、年齢を重ねても競技を続ける動機付けにし、年を取るにつれてフェンシングから離れてしまう人たちをつなぎ留める狙いがある。剣道の制度を参考にした。
「長い時間、フェンシングとのタッチポイントを持ってもらうために、みんながコツコツ頑張れるような仕組みが必要だと思っています。参考にさせていただいたのは剣道。僕らの場合は五輪こそ全てだから、五輪で勝つための設計しかできていない。そうではなくて、要はヒエラルキーをどうつくっていくか。年配の方とか諸先輩方が尊敬されるような立ち位置をしっかりつくってあげる。英検、漢検、剣道、野菜ソムリエ、アスリートフードマイスターなどのビジネスモデルを調べて」
検定制度導入が実現できれば、検定料による収入増が見込める。太田会長によると、剣道では検定で年間数億円の収入があるという。
「『金稼ぎでしょ?』と言われたら、そうなんです。一律に取っている登録料が、うちは他の競技団体より高い。検定を取りたい人は、自分のモチベーションに対価を払っているので高いとは思わないわけです。一方で、参入障壁を下げるためにも、一律にかかる登録料は安くしないといけない。どこかの町のクラブに通って、週に1回でも2週間に1回でも練習してくれると、うちとの接点を持ち続けてくれることになります」
「基本的には剣道さんをモデルにして、どうエッセンスを加えて、何を検定して、誰がどう採点をするのか、誰が段を付与するのかを考えないといけない」
新着
会員限定