バブル経済やリーマン・ショック、2度にわたる大震災、宗教団体による連続テロ事件―。昭和天皇の逝去を受け、1989年1月8日から始まった「平成」も残りわずかとなった。2019年4月30日には天皇陛下が退位され、翌5月1日に皇太子さまが即位、新元号が適用される。30年4カ月で幕を閉じることになる平成という時代に天皇、皇后両陛下が果たした役割とは。
平和への思い
2018年3月、沖縄県を訪れた両陛下が真っ先に足を運んだのは、これまでと同様、糸満市にある国立沖縄戦没者墓苑だった。先の大戦で大規模な地上戦が行われ、住民も含め約20万人が犠牲になったとされる沖縄は、皇太子夫妻時代も含め計11回訪問。戦後から50、60、70年と節目の年を中心に、広島、長崎、サイパン、パラオ、フィリピンなど、被爆地や激しい戦闘が行われた戦地への「慰霊の旅」も重ねてきた。
「先の戦争のことを十分に知り、考えを深めていくことが日本の将来にとって極めて大切なことと思います」
戦後70年の2015年の誕生日会見で天皇陛下が述べたのは、平和への揺るがない思いだった。
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