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「挑戦する精神」受け継ぐ 八代目市川染五郎

37年ぶりの三代同時襲名

 襲名は歌舞伎俳優にとって飛躍につながる大きな節目。名門・松本幸四郎家(高麗屋)では今年、松本幸四郎が二代目松本白鸚、市川染五郎が十代目松本幸四郎、松本金太郎が八代目市川染五郎と名を改め、新たな一歩を踏み出した。中でも、1月に東京・歌舞伎座で襲名興行が始まるや、その涼しげな美少年ぶりと気品のある舞台姿で一躍注目を集めているのが、現在中学1年生の新染五郎(12)。高麗屋の若きプリンスに襲名と歌舞伎への思いを聞いた。

 高麗屋の親、子、孫の三代による同時襲名は、1981年10月に初代白鸚、九代目幸四郎、七代目染五郎が行って以来37年ぶり、2度目となる。1月2日、歌舞伎座公演の口上で、新白鸚が「3人そろってのご披露が再び盛大に行われることは、泉下の父(初代松本白鸚)もさぞ喜んでいることと存じます」、新幸四郎が「歌舞伎の力となることを信じて、天に向かって舞台に立ち続ける」と述べたのに続き、染五郎は「『勧進帳』の義経という身に余る大役を勤められることはこの上ない喜び。なお一層芸道に精進いたします」と力強く誓った。

 この時の手応えを聞くと「もう、手が震えちゃって。染五郎として初めてお客さんに顔を見せるので、スタートがちゃんとしてないと、と緊張しました」と初々しい答え。「やっぱりまだ、染五郎といえば父」とはいうものの、新聞や雑誌、テレビなどへの露出も増え、「『染五郎』と呼ばれたり、『八代目』と声が掛かったりすると、自分は染五郎なんだという実感が日に日に芽生えました」と笑顔で話した。


市川染五郎(いちかわ・そめごろう) 2005年3月27日生まれ。07年6月に初お目見え。09年6月、歌舞伎座「門出祝寿連獅子」の童後に孫獅子の精で四代目松本金太郎を名乗って初舞台を踏んだ。18年1月、八代目市川染五郎を襲名。

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