選挙戦に入ると「女性の支持」「女性票の獲得」といったフレーズを時々、耳にする。一口に「女性有権者」と言っても、フレッシュな女子高生から筆者のような疲れたサラリーマン、はたまたセレブ主婦などまで、多種多様な人間がいる。それを十把一からげ、ひとくくりにするなんて、失礼な話だ。逆に「男性票の獲得」などと言う人は、ほぼいないだろうに。
そもそも女性と男性の政治意識、投票行動は違うものなのか。総務省がまとめた「目で見る投票率」によると、衆院選は戦後間ないころこそ、男性の方が10ポイント以上高いが、1963年以降の男女差は1-2ポイント程度。67年までは男性の投票率が高く、69年から2005年は女性が男性を上回り、09年以降はまた男性の方が高くなった。参院選も似たような傾向だ。
投票以外の政治参加に関しては、女性政治家の割合が諸外国と比べ、日本では少ないことが指摘される。列国議会同盟(IPU)がまとめた「世界の女性議員割合・国別ランキング」(17年)によると、衆院と参院を合わせた日本の女性議員割合は13.1%で、193カ国中142位。世界平均の23.3%を大きく下回る。
専門家に聞くと、一般的に「女性の政治性、政治関心は男性よりも低い」とされるそうだ。「女性は生来的に政治への関心が低い」という説、「関心はあるが女性の政治的参加を制限する内的、外的要因が存在する」という説などがある。後者の「要因」には、例えば男女の役割に関する固定観念や、家事育児労働による時間の制約などが挙げられるという。
確かに筆者の友人知人でも、「政治談議が止まらない」「選挙大好き」といったたぐいの人は男性で、政治を語る女性というのは少ないように思う。しかし、表だって語らないことは、必ずしも「考えていない」「関心がない」ことではない。実際に聞いてみなければ、分からない。
今回、さまざまな形で働く女性から、政治や政策の現状について、個別、具体的な見解を聞いた。「子育て支援」「女性活躍推進」「働き方改革」など、働く女性をターゲットとしたスローガンが花盛りの折、当事者としてそれをどのように受け止め、今回の衆院選の投票にどう反映させるのか。率直な思いを語ってもらった。(時事通信社編集局女性編集チーム・沼野容子)
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