「日系LCC5年」インタビュー企画の第2回は、国内線でLCC最大規模を誇るジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)の片岡優会長と、中国・春秋航空グループの春秋航空日本(スプリング・ジャパン、成田市)の王※(ワン・ウェイ)会長に登場いただく。(※=火ヘンに韋)
「国内線ナンバーワン、譲らない」
ジェットスター・ジャパンは、成田空港を拠点に運航を始めた初の日系LCC。それまで大手などによる少数の国際線乗り継ぎ便(フィーダー便)に限られていた同空港の国内線を大幅に拡充させた。
2016年にLCCの国内線に搭乗した旅客のうち、同社便利用者の割合は52%。片岡会長は「国内線トップの座は譲らない」と、シェア堅持の決意を語る。
最初の最高経営責任者(CEO)鈴木みゆき氏に代わり、15年4月、代表権を持つ会長に就任。同時にCEOとなったオーストラリア・ジェットスターグループ出身のジェリー・ターナー氏と二人三脚で運航の安定化と利益の確保に努めてきた。
14年末には運航開始から2年半足らずでエアバスA320型機20機の体制となり、大手を含め国内航空会社で最多の同型機を保有した。国内線就航先は同年10月の段階で成田発着分だけでも9空港と、日系LCC最大級の規模を誇った。
しかし、「門限」(夜間離着陸制限)がある成田の欠点を補うために急いだ関西空港の「第2拠点化」は、整備体制上の問題で何度も延期になり、LCC経営上は望ましくない「航空機余り」が続いた。また、相次いで開設した国内線も、一部で「客がついてこない」状態が見られた。
片岡会長は「今では機数に合わせて乗客が順調に増えており、5年たってようやく認知度が進んできた」と現状を説明する。
会長就任後は、国内線の新規開設をいったんストップし、「運航品質」の向上を図りながら国際線の開設を進めた。その結果、昨年7月~今年6月の17年6月期は、冬場に大雪による新千歳空港関連の欠航や遅延が相次いだにもかかわらず、定刻から15分以内に出発した「定時運航率」は81.4%、欠航率は1.5%と、まずまず優秀な成績だ。仮に欠航しても主要路線では便数が多いため、次の便に回ってもらうことができる。こうした「安定性」を背景に、アンケート調査では、利用目的を「ビジネス」とした人が2割に上っているという。
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