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ヒアリ、遭遇したらどうする?~身を守るための対処法~

30分は人目のつく場所で安静に

 ―ヒアリに刺されたらどうなるのか?

 伊藤 軽度の場合はその後、刺された部位が腫れ、かゆみが発生。10時間ほどで皮膚内部に白い膿(うみ)が見える無菌性膿疱(むきんせいのうほう)を生じる。中度だと、刺された部位以外にもじんましんなどのかゆみのある皮疹(ひしん)が広がる。重度では全身に急激なアレルギー症状が現れるアナフィラキシーとなり、刺されてから数十分以内に呼吸困難などを生じる。さらに症状が進むと、血圧の低下、意識障害などに陥るアナフィラキシーショックとなり、立つこともままならず、処置が遅れれば最悪、死に至るケースもある。

 ―どれぐらい危険なのか?

 伊藤 ヒアリに刺されて亡くなる方は0.001%未満と言われている。米国では年間1400万人以上が刺されているが、亡くなる方は多くても100人未満とされており、10万人に1人未満の確率だ。ただ、日本人は「アリで命にかかわる」「アリが刺す」という感覚がなかったので、怖がる人がいるのも事実。ハチに刺されて亡くなる方の方が多いので、ハチ程度に怖がった方がいいが、ハチよりも恐ろしいというほどではないかなという感じだ。ただ、大群に多量に刺されてしまった場合には、ハチとは違う性質の毒素を持っているため、ハチより危険となることもあり得る。ヒアリの知識を身に付け、なるべく刺されないよう気を付けるようにはしていただきたいと思う。

 ―刺されてしまった時の対処法は?

 伊藤 刺されてしまった時は、アリ塚などヒアリがいる場所から離れ、安全な場所で患部を流水や氷などで冷やし、虫さされ薬などの抗ヒスタミン薬を患部に塗る。30分程度は人目のつく場所で安静にして過ごし、体調に変化がないかどうか確認する。呼吸困難やめまいなどの症状が起これば、救急車を呼び、近くの病院まで搬送してもらう。(アドレナリンの自己注射液)エピペンを持っていれば、エピペンを使い、同時に救急車も呼ぶ。じんましんが全身に現れた場合も、症状が進む可能性があるため、病院で診てもらった方がよい。刺された部位のみの軽度の場合は、心配なら病院で診察してもらってはどうかという程度で、症状が進む様子がないのであれば、例えば夜中に1カ所刺されたからといって、無理して救急外来を受診する必要はなく、手持ちの薬を使って様子を見てもよいと思う。

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