バレーボール全日本男子の中垣内祐一新監督(49)が、先のワールドリーグで初采配を振った。2008年北京五輪を最後に五輪から遠ざかっている日本男子バレーを率いて、3年後の東京五輪でどんな戦いを挑むのか。7月初め、ワールドリーグ後の合宿を訪ねた。(取材、構成=時事通信運動部・小野田有希、時事ドットコム編集部・若林哲治)(敬称略)
―ワールドリーグは2部で2位でした。2部の1次リーグで敗退した昨年より成績も上がりましたが、どんな成果と課題が見えましたか。
中垣内 昨年はリオデジャネイロ五輪の予選で敗れた後のワールドリーグで、メンバーがそろっていたわけではないし、今年とはモチベーションの差も大きいし、一概には比べられないと思っています。そんな中で一昨年、昨年あたりから入った若い選手が順調に成長していること、サーブレシーブが良くなってセンターラインが機能していることが違いでしょうか。
ただ、高崎での3試合(対トルコ、スロベニア、韓国)は3連勝という結果も含めて出来過ぎなところがあった。その後の中国(第3週)、オーストラリア(ファイナル)での試合は高崎ほどのプレーはできなかったわけで、本当の実力をつけていくことが必要です。具体的には大竹(壱青=中大)も日本では非常に良かったけど、中国に行ってからはそうではなかったし、我々のサーブも中国での試合以降は湿りがちだったことを考えると、2位にはなったけど、まだまだ先は長いですね。
―セッターの藤井直伸(東レ)がセンターをうまく使うトスワークを見せて、新しい風を吹き込みました。
中垣内 そうですね。日本でも1988年ソウル五輪あたりはセンターでサイドアウトを取っていました。それ以降は、ちょっとそうではなくなっていた感はありますよね。センターは決まらないと怖い、決まるんだったら使うけど決まらないから使わないみたいな思いがあって、なかなか挑戦し切れなかった。藤井は決まるまで使う頑固さというか、1本はブロックされても2本はさせないぞ、という思いでトスを上げている。そういう意味で今までと違うブレークスルーがあったかなとは思います。日本人のセンターだって決まるじゃないかと思わせた。選手たちも感じていると思う。センターの数字(データ)も非常にいいですし。
サーブレシーブもよく返っている印象があります。特にオーバーハンドのサーブレシーブが、フローターサーブ、ジャンプフローターサーブに対する数字を押し上げている。
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