激しい吹雪と荒ぶる海。野に咲くかれんな雪割草。水平線上でにぶい光を放つ夕日―。
能登半島などの北陸ロケで生まれた詩情あふれる映像を背に、主演の岡田准一と小栗旬、柄本佑ら共演者がサスペンスタッチのヒューマンドラマに挑んだ。5月6日から東宝系で全国公開される映画「追憶」。メガホンを取ったのは降旗康男監督、撮影は木村大作キャメラマン。「駅 STATION」「鉄道員(ぽっぽや)」「ホタル」など、高倉健主演の数々の名作を送り出したコンビだ。
降旗・木村コンビの映画は16作目。「憑神(つきがみ)」(2007年公開)以来で、高倉さんが亡くなってからは初めてのタッグとなった。降旗から「ポエジー(詩情)のある作品を撮りたい」と求められた木村は、今回もフィルムと多重キャメラで撮影する手法を駆使し、人の営みを包み込む自然美と、現場に立つ俳優の素の表情を追い求めた。
「男たちが、とらわれた過去にあらがい、どう生きるか。一生懸命闘い、もがいている姿の中に、何かしら人間の本当のところを感じてもらえればいい。そういう作品だと思います」と降旗監督。2人に、作品に込めた思いを聞いた。(敬称略)
◆あらすじ◆
富山県警の刑事、四方篤(岡田)は偶然、幼なじみの川端悟(柄本)と再会する。その悟が、漁港で殺された。容疑者として浮かんだのも幼なじみの田所啓太(小栗)。3人は、25年前のある事件を機に「二度と会わない」と誓い、別々の道を歩んできたはずだった。四方は、忘れたくても忘れられなかった過去の記憶と、いや応なく対峙(たいじ)する―。
別居中の四方の妻、美那子に長澤まさみ。出産間近の田所の妻、真理に木村文乃。そして、かつて少年3人が身を寄せた喫茶「ゆきわりそう」の店主・仁科涼子役の安藤サクラが鮮烈な印象を残し、常連客役の吉岡秀隆が脇を固める。
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