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100年の歴史を歩く~中国・大連、旅順の今~

中国風ロシア街

 再び大連に戻ると、まだ時間があったので、ロシア風の建物が通りに並ぶ旧ロシア人街を訪れた。残念ながらロシア人の姿は見ることはできなかった。

 通りの一番奥にあったのが東京駅をミニチュアにして、屋根を緑色に塗り替えたような建物。ロシア統治時代の市役所で、日本統治時代は満鉄本社などに使われたという。この場所の目玉のはずだが、現在は使われていなく、痛みが激しい。塗装は所々剝がれ、窓には白い板が張られていて、建物がかわいそうになるぐらいだ。

 沿道に並ぶ土産物店をのぞきながら、30分ほど散策した。売られているのはロシアの民芸品マトリョーシカで、棚に所狭しとさまざまな柄のそれが並んでいる。「旧ロシア人街」と名付けられているが、何だか中国風のロシアだ。

 最終日の早朝、大連周水子国際空港から富山きときと空港へ。旅順、大連の旅は派手さはなく歴史が好きでなければ十分に楽しめないかもしれない。でも、100年後には見られなくなってしまうだろう光景を一度は見ておく価値はある。広い空港のロビーを歩きながらそんなことを思った。

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