この日は曇り空だったが視線を遮る物は無い。旅順港は約4キロ先というが、確かに見渡すことができた。日本軍はここから照準を合わせ、山越に港内の艦隊へ砲撃を行った。ガイドは「きょうはきれいに見える。旅順港は港と外海との入り口が非常に狭い」と解説してくれた。
広場の中心には高さ10メートルほどの弾丸の形をした碑が建っている。多くの犠牲者を出して、要塞を落とした乃木典希大将が建立。碑の材料は高地に散乱していた砲弾を集めて作られたと言われる。
乃木大将は自らの息子もこの戦場で亡くした。碑の側面には上から「爾霊山(にれいざん)」という3文字が刻まれている。「203」にちなみ、爾(なんじ)の霊の山という意味が込められている。戦争から1世紀以上たった現在も、碑の前には張り詰めた空気が漂っているようだった。
土産物店と併設した食堂の入り口側には、10種類以上の名前の分からない魚がトレーの上に無造作に並べられ、生臭さが充満している。干したような魚や動物の皮を衣で包み揚げたもの、キュウリとクラゲを千切りにしてエビとあえた料理がテーブルに並べられている。生ウニもあり、「大丈夫かな」と恐る恐る口に入れてみる。どろっとしていたが、問題はなかった。
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