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廃炉へ遠い道のり 福島第1原発

朝の国道6号

 そこは、あたかも巨大なインフラ施設の補修現場か、老朽化した工場群の解体現場のようだった。2011年3月11日の事故から6年。廃炉に向けた作業が続く東京電力福島第1原発の構内に入った。

 第1原発は東日本大震災の激しい揺れと津波で、電源を喪失。原子炉内部などへの注水ができなくなり、1~3号機は炉心溶融(メルトダウン)を起こした。増え続ける汚染水との闘いは今も続くが、構内の除染が進み、山側から敷地内に流れ込んでいた地下水も一定程度制御できる状況になったという。

 「さまざまな対策を打ち、人的リソースをかけて労働環境は改善した。今後は本当の意味での廃炉作業フェーズに入っていく」。東電社員らは口をそろえて強調した。(時事通信仙台支社)

  ◇  ◇  ◇

 日は昇っていたが、朝の冷え込みは厳しかった。福島県楢葉町のJヴィレッジ。県南部のいわき市を午前6時前に同僚記者らと車で出発してやって来たが、夜明け前だというのに、常磐自動車道を北上する車線は、車のテールライトの赤い光が川のように流れていた。

 原発や復興事業の現場に出勤するためか、福島の沿岸部被災地をこんなに多くの車両が移動しているとは、想像したこともなかった。

 午前7時5分。東電が用意したバスはJヴィレッジの駐車場を出た。第1原発に向かう途中、国道6号の沿道には、廃墟と化した商店や食堂、パチンコ店などが無残な姿をさらし、人影はほとんどない。わずかにガソリンスタンドとコンビニ店がそれぞれ1軒、営業しているのを車窓から目にしただけだった。

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