昨年のリオデジャネイロ五輪で、卓球の日本女子は2大会連続のメダルを獲得した。大会後、ナショナルチームの監督を8年務めた村上恭和氏が勇退。後任には、元全日本チャンピオンの馬場美香さん(51)=旧姓星野=が就任した。2020年東京五輪でどんな戦いを挑むのか。3年後に向けて体制を整え始めた馬場監督を訪ねた。(時事ドットコム編集部)
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東京五輪で打倒中国を目指す日本女子。エース石川佳純(全農)、1月の全日本選手権で16歳の史上最年少優勝を果たした平野美宇(エリートアカデミー)、リオ五輪団体銅メダルのメンバーだった伊藤美誠(スターツSC)の3人を中心に、若手も伸びている。全日本終了後には世界選手権個人戦(5月29日~6月5日、ドイツ・デュッセルドルフ)の代表も発表された。
馬場 1月29日から2月4日までの合宿では、東京五輪を目指す上で、こういう練習をしていく、こういう意識を持つ、ということを掲げました。例えば中国はこういうプレーをしているから、勝つにはこういうプレーをしないといけない、この技もここまで高めないと通用しない、というのを映像なども見せながら細かく示して意識させるように。
中国などとずっと対戦してきた石川にしても、分かっている部分と認識していない部分がある。分かってはいるけれども実際に意識していつもやっているかと聞いてみると、やっていることもあるし、そこまではいっていないこともありますからね。
「卓球は100メートル競走をしながらチェスをするような競技」と言ったのは、元世界チャンピオンで国際卓球連盟会長も務めた故・荻村伊智朗さんだった。世界のトップクラスならドライブで1秒150回転超、時速200キロ近いといわれる打球が飛び交い、100分の1秒、ミリ以下の遅れや狂いが、メダルの色を分ける。
馬場 できることのレベルが高くなければ。入れればいいというのと、こう軌道を描いてここを狙うとか、そこまでいかないと通用しない。「この1点」でどんなボールを出せるか、入るか入らないか、入ってもトップの選手にはそれを思い切り返されたりしますから。卓球は相手との距離が近いので、相手がどこを待っている、待ってない、ということもすごく影響してくるので。五輪という大舞台の「この1点」で自分の力を十分発揮できるレベルに、磨いていきます。
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