クレヨンハウスから見た 子どもと女性の40年 落合恵子さん

深くて豊かな絵本の世界

 作家の落合恵子さん(71)が、子どもの絵本の専門店「クレヨンハウス」をオープンしたのは1976年12月だった。子どもたちが絵本の世界で遊び、大人も一緒に語って学び合える場にと、女性の生き方や食、環境などにもテーマを広げて40年。幅広い年齢層の人々でにぎわう「受発信」の場へ、落合さんを訪ねた。(時事ドットコム編集部)

 Q:40年前に始めたきっかけは。

 それまで放送局にいて、海外取材に行くとまちに子どもの本屋さんがあって、大人も座って本を読んだり、子どもと本を挟んで向かい合ったり、教育について話し合ったり、一つの「受発信」の場になっていて、日本に欲しいと思ったんです。

 絵本はすぐに読めてしまうから座り読みされたら売れないとか言われましたが、私自身は大好きな絵本を繰り返し、大事に大事に読んでいましたから、それはないんじゃないかなと思って。無謀と言われつつもスタートしました。

 何冊も読んで好きな1冊を買っていくお子さんが多かったですね。10年ぐらいたったあたりから、お父さんも急激に増えました。小さいけれども「窓」を開けていく面白さがありました。

 Q:子どもの本は当時と今では、変わりましたか。

 18歳ぐらいの時、銀座の洋書店で、原書の「あおくんときいろちゃん」(レオ・レオーニ)を買って、こんなに深くて豊かな絵本の世界があるんだと衝撃を受けました。私の子どもの頃は、大人のお手伝いをする子はいいとか、大人が考える「いい子」をつくるために絵本が使われたという感じが強かったんですね。

 子どもの本は基本的にロング、ロングセラーなんです。「ぐりとぐら」「ピーターラビット」とか。そこへ新しいものも入ってくる。デザイン的にアートなものや、タブー視されていた死を描く「わすれられないおくりもの」(スーザン・バーレイ)とか。

 ガブリエル・バンサンの「アンジュール ある犬の物語」は、文章が一つもない。モノクロの絵だけ。走っている車から犬が捨てられ、街や海辺をさまよう。その彷徨や漂流を描いて、最後に、同じように寂しさを抱えているのだろうと思わせる男の子と出会うところで終わりますが、子どもは絵だけで物語を読み取ります。このストーリーは子どもには追えないだろうとか、ここまで語っていいのかと大人が迷う話でも。確実に子どもの本の世界は変わっています。レイズしている、上がっている。
〔年表〕子どもをめぐる40年
〔年表〕女性をめぐる40年

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