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地上100センチの熱視線 リオ・パラリンピック

車いすで取材したリオ大会

 車いすを利用している時事通信運動部所属の社員、小林義明がリオデジャネイロ・パラリンピックの記録を取材、集計するため現地に乗り込んだ。
 さまざまな障害を持つ選手にとって、競技会場が快適で使い勝手が良いのは当然かもしれない。では、職場となるメインプレスセンター(MPC)はどうだろう。また、リオの街中は。そして、どんな人が待ってるのだろうか。いつもの視点、地上約100センチから見詰めた。

【9月4日=乗り換えのドバイ国際空港】
 海外出張どころか、そもそも日本を離れるのが初めて。緊張するに決まっている。

 午前3時40分、ドバイ着。手続きなどのため待たされる。空港スタッフに説明を受けるが、まくしたてる英語が早過ぎて何を言っているのかさっぱり分からない。待機スペースで椅子に座るよう促され、航空チケットを預けた。車いすをどこに持って行くの? 不安でたまらない。

 後で分かったことだが、ドバイから・ブラジル・リオへのフライトが午前7時10分発と時間があるため、ただ「そこで待て」ということだったようだ。

 別の空港スタッフに、自分が車いすユーザーであること、トイレに行きたいこと、自力で車いすをこぐなどをつたない英語で伝え、ようやく車いすを貸りることができた。

 【5日=選手と間違われ? 車いすが…】
 リオ郊外のアントニオ・カルロス・ジョビン国際空港に到着。飛行機から降りる際、出口まで車いすを持ってきてもらう手はずだった。ところが、同じ便に乗っていた香港代表のパラリンピック選手と間違えられたようだ。自分の車いすがなかなか届かない。空港スタッフは、私が選手ではないと分かると、想定外の出来事に慌てた様子。トランシーバーに向かって大声で叫び始めた。何を言っているのか理解できず、不安感が頂点に。

【5日=リオの街】
 街の舗装が最悪。石畳で舗装されているのだが、継ぎ目が凸凹だらけ。その衝撃を常に感じながら車いすをこがなければならない。うっとうしい。重馬場の競走馬もこんな気分か。舗装されていない場所もある。歩道を歩いていると、一部分だけ舗装がはがれていて、車いすの前輪がはまってしまい、こけそうになった。一緒に歩いていた先輩が、かなり心配していた。街全体が、障害者に優しいとは言えないようだ。

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