青い車体に大きな瞳。世界中の子どもに親しまれている「きかんしゃトーマス」のキャラクターが、物語から抜け出し、白い煙を上げて日本の山あいを走る。静岡県の大井川鉄道が運行する大人気の「トーマス号」に今夏、乗車することができた。
正直、ちびっ子の集団は苦手だ。子ども向けのイベントなどは極力避けてきたのだが、「寝ても覚めてもトーマス」の息子(3)のため、重い腰を上げた。しかしいざトーマス号を前にすると、あまりの迫力にびっくり。不覚にも興奮してしまった。(時事通信社・沼野容子)
「きかんしゃトーマス」は、架空の島「ソドー島」を舞台に、顔と意思を持った機関車が活躍する物語。機関車に加え、車や飛行機など100を超えるキャラクターが登場する。英国のウィルバート・オードリー牧師が70年前に描いた絵本が原作で、テレビアニメは現在、世界185の国と地域で放映されている。
蒸気機関車(SL)の運行で知られる大井川鉄道に、トーマス号が登場したのは2年前の14年。新金谷駅(静岡県島田市)−千頭駅(同川根本町)の37.2キロを期間限定で走っている。同年は7月から10月の間に112本運転され、約5万6000人が乗車。15年は、赤い車体のジェームス号も加わり、200本運行で約10万5000人が乗った。
片道大人2720円、子ども1360円の乗車券は、文字通り「プラチナチケット」だ。14、15両年、同社ホームページ上で受け付けた予約抽選には、申し込みが殺到。倍率は平均で7−8倍にも上ったという。今年は、2月に運転スケジュールが発表され、3月からローソンチケットで抽選受付が始まった。筆者も気合を入れて抽選に挑んだが、結果はあえなく落選だった。
「行けない」と言われると、余計に行きたくなるものだ。5月の休日、旅行会社のホームページなどを綿密にチェックしていて、「大鉄観光」という大井川鉄道の関連会社が主催するバスツアーを発見した。静岡または浜松駅発着で、新金谷駅からトーマス号に乗り、SL整備工場などを見学する内容で、弁当、各種入場券などが付き大人9500円、子ども8000円。ラッキーなことに、同ツアーが同社サイトに掲載されてから1日しかたっておらず、8月のお盆休み中に予約を取ることができた。
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