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幹部に成り切り予算編成 まちづくりゲーム体験記

辞令交付で局長に就任

 未来の自治体経営をシミュレーションするゲーム形式のワークショップが広がり始めている。オリジナル版は熊本県庁の有志が2014年に作製した「SIM(シム)熊本2030」。参加者が架空の自治体の幹部となり、少子高齢化が進展する30年度までの予算編成を疑似体験する内容だ。記者も千葉市で開催された「SIMちば2030」に参加し、グループのメンバーと協力して理想のまちづくりを目指した。(時事通信内政部 新部たまみ)

 ある日の午後、千葉市の会場には参加者27人が集まった。行政関係者が多いような印象を受けたが、先入観を持たずにゲームに臨めるよう、終わるまで互いに身分を明かさないのがルールだ。ゲームの説明が済むと、千葉市をモデルにした架空の政令市、C市の市長役の事務局員が一人ひとりの名前を読み上げ、辞令を交付。最初に5人の「総務・財政局長」が任命され、五つのグループが誕生した。記者は第5グループの「こども未来局長」として、市民のために働くことに。実際に辞令の紙を受け取ると、じわじわと責任感が湧いてくるから不思議だ。

 既存事業の減額や、複数事業の統合はできないため、すぐに事業の完全廃止を迫られる場面が訪れるが、市の魅力度低下や、受益者からの反発は避けられない。このため、事業の取捨選択とともに廃止理由や代替策も検討する。そして、各ラウンドの最後に登場する市議役の事務局員に理由を説明するが、市議が納得しなければ、地方債を発行して事業を存続させることになる。計4億円まで地方債を発行してしまうと、C市は自由に借金できなくなる早期健全化団体に転落し、ゲームオーバーとなる設定だ。

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