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「原発ゼロ、生きているうちに」~小泉元首相講演~

放射能被害、断定できないが…

 「私が生きているうちに原発ゼロを成し遂げたい」。5月26日、東京・有楽町で小泉純一郎元首相の講演会が開かれた。小泉氏は東京電力福島第一原発事故で放射能に被ばくしたとみられる元米兵に会い、記者会見で涙を流した話も披露。ちょうど主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開かれ、27日のオバマ米大統領の広島訪問が注目を集めていたが、小泉氏は記者団に「核廃絶よりも原発ゼロの方が易しい」と強調した。(時事通信社編集委員・村田純一)

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 小泉氏は5月中旬、日系米国人の知人に依頼され、米カリフォルニア州サンディエゴを訪れた。2011年3月11日の東日本大震災後、米軍の「トモダチ作戦」に参加し、福島第一原発事故で放射能に被ばくしたと思われる元米兵の話をじかに聞くためだった。

 「5年前の米軍のトモダチ作戦、原子力空母ロナルド・レーガンの乗組員が救援活動をしてくれた。その兵士たちの中で、放射能被害(被ばく)と思われる方々が今どんどん増えている。(原発事故後)2カ月間ほどあの東北沖に空母を止めて、ヘリコプターで被災地に救援物資を送り、津波で海に流された人たちを救う救援活動をしていた。(11年3月12日に)福島の原発が爆発して放射能が海に来た。それを知らされないまま救援活動をした。

 もちろん防護服なんて着ていない。あの救援活動に参加したのは海軍、海兵隊、空軍、陸軍合わせて2万人以上。原子力空母はガイガーカウンターを持っている。当時、救援活動が終わってガイガーカウンターが鳴り出した。これは放射能じゃないか。(兵士たちは)そういう大変な思いをしながら、よく分からないまま活動していた。半年ぐらいたった。どうも体がおかしい。海軍関係の病院は原因不明という。頑健な兵士が体をむしばまれて活動できなくなっている。放射能被害という断定はできない。

 3年たち、(被ばくしたと思われる兵士は)200人から300人に。ところが、報道機関はあまり報道してくれない。(兵士たちの話を聞いてほしいと頼まれ)これが本当だったら黙っているのは無責任じゃないかと思って、『行きますよ』と言った。5月15日から3日間、10人ほど、割合被害の軽い兵士たちの話をじかに聞いたんです」

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