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農園から目指せ日本リーグ ハンドボールクラブ「フレッサ福岡」

「選手の就業、農業のためになる」

 農業で生活の糧を得ながら、ハンドボールの国内最高峰、日本リーグ入りを目指す―。そんなユニークなクラブチーム「フレッサ福岡」(前川健太代表=37)が福岡県糸島市に誕生した。

 2016年4月4日、糸島市内でチームの発足式が行われた。選手最年長の栗崎勝大選手(29)は「第2の故郷糸島を愛し、愛される存在になり、農業が抱える問題にチーム一丸で取り組む」と決意を表明した。

 4月中旬には、糸島市の日高農園で選手が農作業に取り組んだ。扱うのはボールではなく、ビニールハウスのトマト。畑勝也選手は「覚えることが多くて大変。でも楽しい。無意識に筋肉も結構使ってます」、栗崎選手も「教員時代は時間に追われていたが、ここでは夢中になっているうちに時間が過ぎる」と言いながら、気持ち良さそうに汗をぬぐった。

 昼間は慣れない農業をし、夜はハンドボールの練習を積む。「農業をする日本リーグ選手」が実現すれば、スポーツ界では画期的なことだ。

 チーム発足に動いたのは前川代表だ。昨春、15年間勤めた福岡県警の警察官を辞め、福岡市議選に出馬して落選。人生の岐路に立たされた時、新しい道に選んだのが、高校時代から続けているハンドボールだった。

 「やるなら日本リーグのチームをつくりたい」。前川代表は、15年まで日本リーグのトヨタ紡織九州でプレーしていた知人の栗崎純一監督(31)に相談を持ちかけ、企業に頼らず選手が農業で生計を立てる発想を得た。「農業ならつぶれない。選手の就農は農業のためにもなる」と考え、実現への道を探った。

 そんなユニークな発想と熱意に共鳴した一人が、日高農園で代表取締役を務める日高輝富さん(57)だ。「本気だな、とね。農業もスポーツも大変。一緒に(問題を)クリアできる可能性があると思った」と話す。

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