約2週間にわたるカーター米国防長官のアジア・中東歴訪も、終わりに近づいてきた。長いかそうでないかと問われれば、やはり長く感じる。瞬間瞬間の時間は相当の速さで流れていくが、振り返ると数日前の出来事がずいぶん昔のことのように思える。
最後の目的地は、ペルシャ湾岸6カ国で構成する湾岸協力会議(GCC)と米国の国防相会合が開かれるサウジアラビアの首都リヤドだ。長官はその直後の米GCC首脳会合にも、オバマ大統領に随行する。域内で影響力を拡大するイランへの対処や、過激派組織「イスラム国」(IS)打倒に向けた軍事作戦での連携強化が、一連の会議の議題になる。
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リヤドに向かう当日の4月19日火曜日午前。長官は滞在中のアラブ首長国連邦アブダビ首長国のムハンマド皇太子と会談したが、許可されたのはプール(代表)取材で開始当初の写真撮影のみ。プール要員であるNBCのクリスティーンやボイス・オブ・アメリカのガーラ以外は午前10時45分と遅めのホテル出発になった。
E4Bナイトウオッチが待つアルダフラ空軍基地までは、10分ほどしかかからない。車内はおしゃべりでにぎやかだ。ロイター通信のエイプリルが「これからなかなか行けない国に行くのよね」と話すと、AP通信のリサも「女性はクレジットカードが使えないだろうから、ビルがおごってね」と笑う。
イスラム教スンニ派の中で最も保守的とされるワッハーブ派を国教とするサウジでは、女性の自動車運転が禁じられるなど、米欧から見れば女性の人権が極端に制限されているのだ。女性が男性の多い場所に行く場合は、「アバヤ」と呼ばれる黒いローブをまとい、「ヒジャブ」という黒いスカーフで髪を覆う。
加えて、サウジのビザ取得手続きは大変煩雑で、思い立ったら観光に行くというわけにはいかない。アルコールもご法度だ。「酒飲めないのか…」と嘆息するビルをよそに、女性陣はやや興奮気味だ。
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