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愛知の女性が輝く企業 「ダイバーシティ」の現場から

「女性活躍推進法」完全施行

 女性が働きやすい職場づくりに向けた、官民の取り組みが進んでいる。2015年8月、女性活躍を成長戦略の中核に据える安倍内閣の看板政策として、「女性活躍推進法」が成立。同9月には、重点施策を挙げた基本方針を閣議決定した。16年4月の同法完全施行以降は、自治体や従業員301人以上の企業は女性登用の数値目標を含めた行動計画を策定し、公表するよう義務付けられる。

 女性が活躍できる社会の旗振り役である厚生労働省の吉本明子官房審議官(雇用均等・児童家庭、少子化対策担当)は、「新しい法制度をどう生かすか、ポイントはトップのリーダーシップ。出産と子育て期にどう仕事を続けるか、女性をどう管理職に登用するかという問題は多くの企業が共有している。そこを本気でどう取り組むか。トップがきちんとコミットしていくことが大事」と強調する。

 吉本審議官は、2013年7月から2年間、愛知県の副知事を務めた経験がある。その愛知県は、女性活躍が全国より遅れている現状があり、改善に向けた先進的な愛知県の企業の試みに熱い視線を向けている一人だ。

 ◇谷が深い「M字カーブ」

 愛知県は、女性の年齢階層別の有業率が30代で低い値となる、いわゆる「M字カーブ」の谷の部分が全国よりも深い。愛知県によると、女性の有業率(12年)は、20~24歳だと愛知県が全国を上回っているものの、25歳以降になると全国を下回る。30~35歳は64.7%で、全国の68.2%より3.5ポイントも下回っているのだ。

 吉本審議官は愛知県の現状について「出産、子育て期にいったん仕事を中断されているかたが多い。なぜか、と言うのはなかなか難しいが、県民の意識として、そういうライフコースを志向されるかたが比較的多いということはあるのかなと思う」と分析する。

 そんな愛知県で、性別などに関係なく多様な人材を活用する「ダイバーシティ(多様性)」をキーワードに、女性が働きやすく、活躍できる環境づくりを多くの企業が推進。具体的には、異業種が情報共有を図る「中部ダイバーシティNet」が07年から子育て支援やキャリア向上に取り組んでいる。

 吉本審議官は「愛知県の人たちは、いざ取り組み出すと着実にやって成果を出していく風土があると思う。足元でそういう取り組みがあることも承知しているので、うまくすそ野を広げていってほしい」と、大きな期待を寄せる。

 愛知県内の企業はどんな取り組みを行っているのか。3社の姿をリポートする。

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