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セカンド・チャンス ~「もう一度、働きたい」~

傷ついた主婦たち

 「すべての女性が輝く社会へ」。政府が働く女性の活躍を推進するために法を制定したり、いろいろな制度をつくったりしています。しかし、日本ではまだ6割の女性が出産で辞める現状があります。子育てが落ち着いて再就職しようとしても、募集は非正規雇用がほとんどで退職前のキャリアが生かしにくい状態です。もちろん、自分が希望して辞めた人もいます。しかし、育児が落ち着いた時、「自分のキャリアをつくりたい」そう思うことはぜいたくなことなのでしょうか。

 「本当の意味で、すべての女性が輝く社会へ」。そう考えるなら、そんな女性たちの思いも受け止めていく必要があると思っています。女性の働き直し「セカンド・チャンス」を支援しようという活動を大学がしています。起業したり、資格を取って仕事につなげたりする人も出てきました。そこには主婦だけではないさまざまな女性の「もう一度、働きたい」という思いがありました。そんな大学の取り組みを追いました。(時事通信社編集局 天野佳代子)

◇再就職支援講座

 「本当に傷ついている主婦が多くて驚きました」と話すのは、明治大学で女性の再就職支援講座を担当する社会連携事務室職員の望月利昭さん。講座は2015年4月に開設され、半年間、マーケティングや財務などを学ぶと、履修証明書が得られる。費用は10万1000円。第1期は42人が受講、主婦がそのうちの26人を占めた。

 再就職のために訪れたハローワークで、年齢とブランクだけ見た職員から「あなたが希望する仕事は見つからない」と言われ、企業に応募しても書類で落とされることが常態化していたという。そのため、「私なんて受講できませんよね」と、講座の説明会では自信を失っている人が多かったと望月さんは振り返る。

 しかし、話してみると、機会さえあればビジネスの最前線で通用する人ばかりで、「ハローワークの求人とビジネス経験豊富な主婦のミスマッチが起きている」と感じたという。

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