会員限定記事会員限定記事

武藤嘉紀と「気配りの男」の幸運な出会い

首をかしげる武藤

 武藤嘉紀は、納得のいかない様子だった。

 2015年12月11日、ブンデスリーガ第16節。マインツはホームでシュツットガルトとスコアレスドローに終わった。武藤は後半36分に無得点で退いた試合後、こう話した。

 「交代はFWとしてキツいですね。やっぱり相手が疲れてくれば疲れてくるだけ、自分の良さって出ると思うし、かなり相手の裏も空いて来て、得点をとれるなって雰囲気の中で変えられてしまったので。早い時間帯に1点決めておかないと、ああやって交代させられてしまうんだなと思います」

 試合終了間際になれば誰しも運動量が落ちるものだが、武藤の場合はその下降曲線が極めて緩やか。疲れて来た相手を尻目に、生き生きと走り回る武藤の姿は印象に残る。だからこそFWとして最も重要な仕事であるゴールの可能性が高まる、チームにも貢献できる、というのが彼の言い分だ。周囲に比べて自分は疲れていないのに…との思いも募る。

 「きょうも、(交代すべきは)自分なのかっていう疑問はありました。でも、自分が思っている出来と監督が思っている出来は違うと思うので、代えるべきだと見えてしまっている以上、もっともっとやらないといけない。最後まで出してくれれば何かしら結果を残したいし、残せると思っている。一番最後の10分、相手が疲れて来て集中が切れるときに残っていられないというのは、何かしら自分が変えて行かなければいけないのかなと」

 首をかしげながら、それでも自分に言い聞かせるように話す。

話題のニュース

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ