100年の歴史を誇る宝塚歌劇団で、6年にわたって星組トップスターを務めた柚希礼音さん。ダイナミックなダンスと女性ファンの心をくすぐる魅力的な男役像で絶大な人気を誇り、今年5月の退団公演の千秋楽には、過去最多の1万2000人のファンが東京宝塚劇場前で彼女の卒業を見守った。
「男役」から「女優」への第一歩となる舞台は、「オペラ座の怪人」などで知られる巨匠、ハロルド・プリンスが演出を手掛け、世界に先駆けて日本で初演される新作ミュージカル「プリンス・オブ・ブロードウェイ」。米ニューヨークで3カ月間のレッスンと稽古を終えて帰国した柚希さんに、滞在中の暮らしや、作品への意気込みなどを聞いた。
(取材・構成=文化特信部 中村正子)
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退団から5カ月。濃紺のシンプルなセーターにグレーのパンツのカジュアルな装いで、「プリンス・オブ・ブロードウェイ」の東京公演が行われる東急シアターオーブのロビーに現れた。ニューヨークでは自炊しながら、稽古に通い、「ハミルトン」「パリのアメリカ人」などのミュージカル公演にも足を運んだという。充実した日々だったことが、その表情から伝わってくる。
ニューヨークは3回目です。最初は研5(入団5年目)ぐらいの時。(元星組トップスターの湖月)わたるさんに勧められたんです。1日に二つも三つもダンスレッスンを受けるダンス三昧で、すごく楽しかった。レベルの高いクラスで、ちっともついていけない状況で稽古するのが好きで、自分を追い込む感じでやっていました。
今回は7月半ばから行って、前半は語学学校と、歌とダンスの稽古、トレーニングと、結構ぎっしり。この時期が一番苦戦したかな。稽古しても稽古しても、進歩しているのか、後戻りしているのか、停滞しているのか分からなくて。在団中は稽古して公演して、必ず誰かが評価してくれていた。それがある生活ってありがたかったんだなと思いました。
帰国してから、ちゃんと筋肉がついて体が変わったと分かりました。英語も日々しゃべることが大切。単語だけでも何とかなるというのは嘘ですね。9月からの稽古場で若い人たちの英語をたくさん教えてもらいました。
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