錦織は昨年の全米で、4回戦からラオニッチ、バブリンカ、ジョコビッチと難敵に次々に競り勝ち、決勝ではチリッチに完敗した。快進撃を演じ、決勝の相手がランキングが自分より下、相性も悪くないチリッチとなったことで、最後は優勝を意識しすぎ、持ち味を発揮できなかった。加えて、連戦の疲労も積み重なっていたと思われる。
「去年全米オープンを2週間戦って、こんなに頭にストレスがかかるものだと、むちゃくちゃに感じた。ジョコビッチは、体やメンタルが疲れている決勝であれだけのパフォーマンスができるというのは、一歩次元が違うところにいるのかなと感じる」。錦織は自らの課題の一つについて、そう語っている。
上に行くほど強い相手との対戦が待っているというのは、勝負事の宿命だ。そこで格上の選手に勝つには、最低でも、戦略やコンディション、精神面のいずれかで相手を上回る必要があるだろう。体力も精神面も疲れていては波乱を演じることは難しい。その意味でも、準決勝の前に、錦織が体力的にも精神的にも、余力を残した状態であることが不可欠だろう。
「去年より自信はついているが、あくまで新たな全米オープン。あまり上を見すぎずに1回戦からしっかり戦っていきたい」と錦織。四大大会に楽な相手はおらず、目の前の相手に集中するのが鉄則だ。しかし、欲を言えば、4回戦あたりまでは余力を残して進みたい。それが、悲願達成への最初の条件になるかもしれない。
優勝争いは、誰が考えても現在のビッグ3が軸。全仏の覇者バブリンカや錦織、昨年優勝のチリッチがその一角を崩せるかどうかだろう。8月の大会でマリー、フェデラーがともにジョコビッチを破っており、3強の現在の力は横一線。総合力でほんのわずか、ジョコビッチがリードしていると見る。
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