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全米テニス、悲願の頂点に再挑戦する錦織

気になるコンディション

 さて、状態はどうなのだろうか。

 筆者は、昨年快挙を演じた舞台に、かなりいい状態で戻ってくると見ている。

 その根拠となるのが、8月3-9日に行われたシティ・オープン(ワシントン)での優勝だ。故障からの復帰戦。錦織は初戦こそ少しもたついたものの、その後は持ち味を生かしたテニスでしっかりと勝ち上がり、準決勝では昨年の全米決勝で敗れたマリン・チリッチ(クロアチア)、決勝ではジョン・イズナー(米国)に逆転勝ち。今季3勝目、ツアー通算10勝目をマークした。準決勝、決勝と、長身選手の強打をしっかりリターンし、自らのペースに引き込んで撃破。決して得意とは言えなかった強力サーブの大型選手を相手に、持ち味を発揮しての勝利だった。

 ウィンブルドンを棄権して日本に一時帰国した際、錦織は「(ふくらはぎの)痛み自体はそんなに大きくない。今年は体の状態が良く、ほぼ半年けががなくできていた。そういう意味で今回のけがは悔しい気持ち、やるせなさもあったが、大丈夫だと思う」と、全米には心配ないと強調した。約1カ月後につかんだ復帰戦の勝利は、その言葉が正しかったことを証明するものだった。

 続く8月10日からのロジャーズ・カップ(カナダ・モントリオール)は、四大大会の次のレベルのカテゴリーに位置づけられるビッグトーナメント。錦織はここでも力強い戦いを見せた。2試合に順当勝ちした後、準々決勝では過去7戦して一度も勝てていなかったラファエル・ナダル(スペイン)を6-2、6-4で破って4強入りした。ナダルが調子を落としているとはいえ、四大大会通算14勝の強豪から念願の初勝利。ナダルが粘りを見せた第2セットも根負けせずに追撃を振り切った第2セットの戦いぶりには、錦織の成長ぶりが凝縮されていた。

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